膝に水が溜まるのはなんで?

膝関節は関節包という袋に包まれていて密封状態になっています。
この関節包という袋の中に滑液(かつえき)という潤滑油のような液体が少量存在しています。
これは関節の動きを滑らかにし、軟骨を保護する役割を果たしています。
しかし、何らかの原因で炎症が起きると、この滑液が過剰に分泌されて、関節に「水がたまる」状態になります。これを関節水腫といいます。
関節に水が溜まると、腫れによる違和感や痛み、膝の曲げにくさや歩きにくさを感じます。
水が溜まる原因として、考えられる主な原因は以下のようなものがあります。
1️⃣ 変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)
加齢や長年の負荷により、膝の軟骨がすり減ることで炎症が起きやすくなり、水がたまりやすくなります。中高年の方、特に女性に多くみられます。
2️⃣関節リウマチ
自己免疫の異常で関節に慢性的な炎症が起き、水がたまりやすくなります。全身の関節にも症状が出ることがあります。
3️⃣半月板損傷や靱帯損傷
ケガやスポーツによる損傷でも膝関節内で炎症が起こり、水がたまる原因になります。
4️⃣感染や結晶性関節炎(痛風など)
感染や尿酸・ピロリン酸カルシウムの結晶によって炎症が引き起こされ、水がたまることもあります。
1️⃣ 原因に応じた治療
例えば、変形性膝関節症が原因であれば、炎症を抑えることが中心になります。リウマチや痛風であれば、その病気そのものの治療が必要です。
2️⃣ 水を抜く(関節穿刺)
たまった水が多くて痛みや腫れが強い場合は、注射で水を抜く処置を行います。これは一時的な対処ではありますが、腫れによる症状が楽になります。ただし炎症を抑えなければすぐに溜まってきてしまいます。
3️⃣ ステロイドやヒアルロン酸の注射
関節内に薬を注射して炎症を抑えたり、関節の潤滑を助けることで症状の改善を図ります。ステロイドは関節リウマチなど炎症性疾患で、ヒアルロン酸の注入は軟骨のすり減りが原因で炎症が起こる変形性膝関節症でよく行われます。
4️⃣ 内服薬や湿布、物理療法
消炎鎮痛薬や湿布を使って痛みや腫れを抑えるほか、リハビリや温熱療法が行われることもあります。
5️⃣ 体重管理や運動療法
膝への負担を減らすため、適正な体重を保つこと、膝まわりの筋力をつけることも大変重要です。体重コントロールのための食事指導が行われる場合もあります。
「膝に水がたまる」というのは、単なる一時的なトラブルではなく、何らかの「膝の炎症のサイン」です。放っておくと悪化することもありますので、早めの診断と治療が重要です。
気になる症状があれば、遠慮なくご相談くださいね。