【女医が解説】「酒さ」って何?慢性的な赤ら顔の正体と治療法まとめ

こんにちは。ささゆりヘルスクリニックの前原です。
「いつも顔が赤い気がする」「頬や鼻だけほてってつらい」「市販の敏感肌用スキンケアでも治らない」…そんなお悩みをお持ちの方、それはもしかすると【酒さ(しゅさ)】かもしれません。
皮膚科でも美容クリニックでも、意外と見逃されがちですが、実は日本人にも多いこの疾患。今日はそちらをわかりやすく丁寧に解説していきます。
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酒さ(rosacea)は、慢性的な顔面の赤みや毛細血管の拡張、時にニキビ様の発疹を伴う皮膚疾患です。主に30〜50代で発症し、特に色白・敏感肌の女性に多い傾向があります。
【疫学】
• 世界では成人の約5〜10%が罹患(欧米に多い)
• 日本では軽症例を含めると**有病率は約1〜2%**程度と推定されています
• 女性に多いが、男性は重症化しやすい傾向も
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症状は人によって異なりますが、主に以下の4タイプに分類されます:
酒さの明確な原因はまだ完全には解明されていませんが、以下のような因子が関与すると考えられています:
• 皮膚のバリア機能の低下
• 毛細血管の過敏性
• Demodex(毛包虫)というダニの関与
• 慢性炎症と免疫反応の異常
【悪化因子(増悪因子)】
• 紫外線(UV)
• 温度変化(熱い飲食、サウナなど)
• アルコール、カフェイン、香辛料
• ストレス、月経前
• 間違ったスキンケア(ピーリングのしすぎ、刺激性化粧品)
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● 自宅でできるセルフケア
• 紫外線対策:SPF30以上・PA+++の日焼け止めを毎日
• 低刺激スキンケア:アルコール・香料・界面活性剤フリーがおすすめ
• 温冷刺激を避ける:熱い飲み物、辛い食べ物、長風呂を控える
• 保湿重視:ヒト型セラミドやナイアシンアミド配合の美容液が有効なことも
● 保険診療でできる治療
• 外用薬
• メトロニダゾール(抗炎症作用)
• アゼライン酸(欧米では第一選択、国内は薬事未承認だが個人輸入可)
• イベルメクチン(ダニ抑制・炎症軽減)
• 内服薬
• テトラサイクリン系抗生物質(ドキシサイクリンなど)
• ミノサイクリン(炎症性丘疹が強いとき)
• 漢方薬
• 桂枝茯苓丸や温清飲など、体質に合わせて処方されることも
● 美容クリニックでの自費治療(保険外)
• IPL(光治療)
→ 血管拡張・赤みに効果。複数回で改善を目指します。
• Vビーム(色素レーザー)
→ 拡張した毛細血管にピンポイント照射。高い赤み改善効果。
• マイクロニードルRF
→ 炎症性ニキビや脂性肌を伴う場合に、皮脂腺の熱変性が有効。
• トラネキサム酸やナイアシンアミド配合のメディカルコスメ
→ 慢性炎症抑制・美白・バリア回復に有効。
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◆ まとめ:赤ら顔、あきらめなくて大丈夫
酒さは一見すると「ただの敏感肌」「大人ニキビ」と誤解されがちですが、正しく診断し、適切な治療とケアをすればコントロールできる疾患です。
特に女性は、「毎日メイクで隠す」のがストレスになってしまう方も多いので、ぜひ気になる症状があれば早めにご相談ください。
当院では、保険診療と自費診療の両方から最適なアプローチをご提案しております。お肌の赤みにお悩みの方は、お気軽にご予約ください。